今回は、医者志望の学生さんに興味を持ってもらいたい記事を紹介したいと思います。
話題のChatGPTが最新の国家試験を受けたらどうなったか?という記事に対して、現役医師が解説したいと思います。

AIが国家試験に合格できるようになったら、医者の将来性はなくなるのかしら?
「医師になりたい」という子供に対して、仕事がなくなるのではと不安を感じる保護者もいるかもしれません。
個人的には、「医者の仕事の多くはAIに置き換えられる可能性はあるが、仕事は必ず残る」と考えています。
今回の記事のレビューに合わせて、現役医師のダイダイの見解も紹介しますので、医師志望のご家庭の参考になればと思います。
- 将来の医師志望の子供さんがいるご家庭
- ChatGPTの可能性に興味があるご家庭
【結論】
- 現在のChatGPTは、医師国家試験を合格することができなかった。
- 将来、AIが医師国家試験に合格できるようになっても、医師の仕事が完全になくなることはない。
【解説】
今回の記事は、現役医学部4年生がChatGPTに最新の医師国家試験を受けさせた紹介記事を参考にしています。
「結果に対する考察」と「AIが国家試験に合格できるようになれば、医師という仕事がなくなるのか」という2点を中心に解説します。
「医者志望の学生さん」や「AIの将来性に興味がある」方の参考になればと思います。
元記事:ChatGPT、医師の国家試験55%正解 医学生も驚く実力と弱点(朝日新聞デジタル) – Yahoo!ニュース
医師国家試験について
ChatGPTの結果解説の前に、医師国家試験について簡単に解説します。
医師国家試験は、6年間の医学科課程を卒業した人のみ受験資格があり、次の3点をクリアする必要があります。
- 必修問題 80%以上
- 一般・臨床問題 70%以上
- 禁忌問題の間違い 数問以下
合格基準の細かい点は年によって異なりますが、タイプの違う問題で〇〇%以上の基準が2つあります。
また禁忌問題という「いくら高得点でも禁忌問題を間違えたら不合格」という恐怖の問題が混ざっています。
医師国家試験には、色々な基準があるということを知ったうえで続きを読んでくださいね。
必修問題:正答率69%で不合格
必修問題は、一問一答に近い問題がイメージしやすいと思います。
僕が一般問題に取り組む時も、キーワードを拾い、既に身に付けている知識量で勝負していました。
AIに関しては素人ですが、知識量などは人間よりもAIが得意とする分野だと思います。

AIが回答に必要な知識を身に付け、合格できる日も遠くないでしょう。
一般・臨床問題:正答率51%で不合格
一般・臨床問題は、実際の患者さんを想定した問題が出題されます。
長い症例の紹介の後に、「どのような治療を選択しますか?」などがイメージしやすいと思います。
キーワードを拾うだけでなく、その中で考察して正答を導いていく必要があります。
AIの進化にもよりますが、深い考察まで可能になるようになる必要がありますね。

必修問題に比べて、一般・臨床問題をクリアするには時間がかかると思います。
禁忌問題:正答率不明
禁忌問題に関しては、元記事にも触れられていません。
どの問題が禁忌問題か情報公開もされておらず、今後もChatGPTが禁忌問題をクリアできるかは不明です。
AIが満点合格する日がくるまでは、AIが禁忌問題を正解できているかは分からないでしょう。
医師という仕事はなくならない。
ここから先は、完全に個人的な見解です。医師に興味がある学生さんの応援メッセージです!
医師という仕事はなくならない理由は2つあります。
- AIが医療業界の全ての領域を埋められない
- 人間に診察、治療してもらいたい人は必ずいる。
2つの理由から、AIが医療業界に進出するスピードは他業界より遅く、そして完全に置き換えられる日はこないと考えています。
理由① AIが全ての領域を埋められない
AIが医師の仕事を埋めていくことは、少しずつ進んでいくと思います。
診断、治療など、人間が行うよりもAIが判断したほうがミスもなく、精度があがることもあるでしょう。
しかし、あえて難しい治療方法、気持ちを優先して医学的には良くない選択をすることなど、人間にしかできない領域もあると思います。
AIが「全て」の領域を埋めることは、心配しすぎる必要はなく、医者という仕事は生き残ると考えています。
理由② 人間に診察、治療してもらいたい人は必ずいる。
仮にAIが進化して、人間よりも診察や治療能力を上回ったとします。
そのような世の中でも、AIではなく人間に治療してもらいたい人はいるのではと考えています。
理由は、人間の口で説明してもらいたい患者さんが多いからです。
全く同じ説明、むしろ時間の制約で直接説明する方が短くなる時が、病院で勤務していると毎日あります。
それでも、「この動画をみていてください」という対応を拒否する患者さんが沢山います。
医者から面と向かって直接話を聞きたい患者さんがゼロになる日は来ないのではと仕事をしながら感じています。
同じようなことがAIが進化しても起き、優秀なAIよりも凡人の人間の医者に治療してもらいたい人が残ると思います。
医者はやりがいのある仕事
医者志望の学生さんに、ぜひお伝えしたいのが「医者という仕事はやりがいがある仕事」ということです。
今後、一部領域ではAIに仕事を奪われる領域もあると思います。
それでも、全ての仕事が奪われることにはならないでしょう。
その領域で、将来一緒に仕事ができることを願っています。
ダイダイはAIに簡単に仕事を奪われないように、医師としての腕を磨きながら待ちたいと思います。
【まとめ】
- ChatGPTの現状では、最新の医師国家試験に合格できなかった。
- 今後、ChatGPTが医師国家試験に合格できる日も訪れると思います。
- AIが医師国家試験に合格する日がきても、医師の仕事が全てなくなる日はこないと考えています。

話題のChatGPTが医師国家試験を受けたという、個人的に非常に興味がある分野の話について熱く語ってしまいました。医療に限らずAIの進出はどの業界でもあると思うので、AIと上手に付き合いたいですね。
ダイダイ広島受験ブログではツイッターともリンクしています。@daidaihirosima
コメント、質問なども募集しています。宜しくお願いします。
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